仕事の合間、ちょっと時間に余裕のあるお昼。
たまには、洒落たお店でそばランチもいいじゃない。麻布の高級住宅街にあって、ちょっと庶民的な風情のある麻布十番。
麻布十番のそば屋と言えば、更科蕎麦の『総本家 更科堀井』なんかが有名だけど・・・。
1.麻布十番の歴史
今でこそ、ちょっとお高いイメージの麻布だが、今の麻布十番は江戸時代までは低湿地帯だったとか。当時、麻布十番のあたりの土地を治めていたのは仙台藩。
しかし、湿気がすごすぎて、低い部分の土地は自ら江戸幕府に返上したほどの湿地度合いだったらしい。そんな麻布十番も、明治時代になる頃には、河川の改修や干拓などによって繁華街に。
さらに時代はめぐって、平成12年には『麻布十番駅』が完成。地下鉄も開通し、加えて近くに『六本木ヒルズ』が開業して、今や知ってのとおりのにぎわいのある地となった。
とはいえ、麻布十番には未だに、大きなビルなどがなく、下町の雰囲気が残っていて、どこか情緒深い。だからなのか、おやじ独りでも入り易いお店がまだまだ多い。
さてさて、下町と言えばお蕎麦屋。
麻布にもお蕎麦屋は多い。先にも挙げた『総本家 更科堀井』なんかが有名だが、時間もあるし、いつものスピード重視ではなく、ここは敢えて洒落たそば屋に行ってみたい。
ということで、食べログで麻布十番のお蕎麦屋を検索っ!
ありました。見るからに洒落たソバ屋!そば屋『川上庵(かわかみあん)』。評価も『3.53』とめちゃ高い!その分、予算もかかりそうだが、仕事の合間にたまにはいいじゃないか、たまには。。。
2.そば屋『川上庵』について
そば屋『川上庵』は、平成14年にオープンしたお店。お蕎麦の老舗の多い麻布においては、新参者の蕎麦屋。
東京メトロ南北線『麻布十番駅』の1番出口から歩いて2分ほどのところ、『麻布カジタビル』の地下一階に、そば屋『川上庵』はある。
ビルは茶色っぽい落ち着いた色味で、テナントが並んでいるわけでもないので、一見すると気づかず通り過ぎてしまいそう。
ビルの角にある、竹の笹と真っ白な暖簾が目印。ちなみに暖簾に『川上庵』の文字はなく、『そば・美酒・料理』の文字のみ。このあたりも何とも粋だ。
そば屋『川上庵』には定休日がなく、昼は11時30分から17時まで。夜は17時から、なんと翌朝4時30分まで。
つまり、午前11時30分から翌朝4時30分まで、お蕎麦が楽しめるというわけ。日付が変わる前、むしろ22時あたりでお店を閉めてしまうそば屋も多い中、ソバ好きオヤジにはたまらない。
なお、23時以降にそば屋『川上庵』に入店した場合には、5%の深夜料金がかかるらしいので、その点は注意いただきたい。サービスの質を維持するための深夜料金は、いたしかたないか。
さぁさぁ、さっそくそば屋『川上庵』に入店。お、お洒落すぎる・・・これをお洒落を言わずして、何をお洒落と言うか、というくらいお洒落。
オヤジには少々プレッシャーなほど・・・シンプルだけど上質なテーブルに椅子、敢えてむき出しにしたと思われる天井の配管に、真っ白な電球。
大小様々な棚には、お酒や食器が並べられている。
ソバ屋というよりは、カフェかバー。インテリア屋と言っても過言ではない。おおよそ蕎麦屋にはにつかわしくない造りだ。
座席はテーブル席を中心に50席ほど。カウンター席もあるが、なんだかお洒落すぎて、オヤジの独りそばという感じではない。
テラス席が5席あり、そこはペット同伴でもいいらしい。このあたりも、なんかおしゃれ。現代の蕎麦屋だな・・・若干緊張しつつ、私は席に着いた。
3.そば屋『川上庵』のお蕎麦は、
私は、いつもの『天せいろ』を注文。
『天せいろ』は、上が1,950円、並が1,720円となかなか高級なお値段。これはご褒美じゃないと来られないな。オヤジの独りソバには贅沢すぎる。
・・・と、『天せいろ』が運ばれてきた。
「ん!?デカイ!」思わずそう口ずさんでしまう、海老天は頭から丸ごと揚げてあって、インパクト大。
芋やナスなどその他野菜の天ぷらも、衣をつけすぎず、素材の色が透けて見える。尖った衣はサクサクしていて、非常に満足。
つけ塩もあるが、ちょっと甘めのつけ汁に浸して食べるのもいい。この天ぷらがつくなら、『天せいろ』の価格も納得かな。
そば屋『川上庵』のお蕎麦は、そばがらもところどころに見える。更科系の聖地とも言える麻布にあって、異色かもしれない。野性味あふれるそば屋『川上庵』のお蕎麦は、みずみずしく、コシもしっかりしている。
よく冷えていて、つるつるとのど越しよい。あっという間にお蕎麦がなくなってしまっても、わずか500円でせいろのおかわりメニューあり。泣けてくるねぇ。
最初はちょっと贅沢な価格かと思ったけれど、麻布でこのクオリティのお蕎麦を食べることを考えると、そば屋『川上庵』のコスパは抜群かもしれない。
しかし、いかんせん、お洒落すぎて、独りのオヤジには不似合い。
きっと全国そばふりーくのみんなも、この気持ちをわかってくれるはず。そば屋『川上庵』は、オヤジの独りそばというより、接待やデートで使いたい蕎麦屋。
そうそう、野性味あふれるお蕎麦と言えば、栄養価が高いことも嬉しい。食物繊維もおそばに豊富に含まれる成分のひとつ。
食物繊維と言えば、こんにゃくが有名だけど、実は「1回の食事で摂取できる」という観点からみると、お蕎麦は群を抜いているらしい。
具体的には、お蕎麦1枚で約4gの食物繊維を摂ることができる。
1日に必要な食物繊維の量は、20~25gと言われているから、おかわりしてお蕎麦を2枚分いただけば、それだけで必要量の3分の1は摂取できることになる。すばらしい!
4.そば屋『川上庵』の個人的なまとめ
そば屋『川上庵』は、外観も内装もおしゃれ。お蕎麦はみずみずしく、ツルツルしていてのど越しがよい。天ぷらは海老が丸ごと載ってあって、見た目にも楽しませてくれる。
高級お蕎麦の激戦区、麻布ではかなりコストパフォーマンスのよいお蕎麦屋と言えるだろう。
そして、日本酒だけでなく、ワインなどお酒のメニューも豊富。それに合うおつまみも。こうしたメニューの豊富さと、お洒落な出で立ちを考えると、オヤジの独りソバというよりは、接待やデートに使いたい。
ちなみに、そば屋『川上庵』は青山と軽井沢にもあるらしい。ここ一番の時に行きたいお蕎麦屋である。