ソバの実の製粉方法は、大きく分けで2つ。『ロール製粉』と『石臼挽き』である。ロール製粉は、機械製粉と呼ばれることもあるが、ここでは、ロール製粉のメリットとデメリットをまとめてみたいと思う。
1.ロール製粉とは
ロール製粉とは、回転しているローラーに抜き実を通して、製粉する製法。ローラー表面にある凹凸や、回転速度の違いによって蕎麦粉の細かさが決まる。
2.ロール製粉のメリット
ロール製粉のメリットは、圧倒的な生産量。製粉そのものはもとより、ふるいにかけてカスを取り除く作業も機械で行えるため、人の手で製粉した時とは比べ物にならない大量のソバ粉を生産することができる。
さらに、一番粉や二番粉、三番粉といった選別が容易。コストを抑えながら、おいしいお蕎麦をいただくには、もはやロール製粉は欠かせない。
また別のメリットとして挙げられるのは、ロール製粉では粒の細かさを均一に揃えることができるため、蕎麦打ちが行いやすいということ。そのため、蕎麦打ちを始めたばかりの人は、ロール製粉でできたソバ粉を使った方がいいと言われている。
そば打ち初心者でなくても、そば打ち時に使用する水の量を抑え、硬いお蕎麦が打てるため、硬めのお蕎麦を好む人は敢えてロール製粉されたソバ粉を使うこともある。
3.ロール製粉のデメリット
ローラーの回転と衝撃により、お蕎麦の品質が落ちてしまうことがデメリット。特に回転によって発生する熱は、『粉焼け』と呼ばれる現象を引き起こす。
たとえば、石臼の10倍の速さでロール製粉を行うと、ソバの実にかかるエネルギーは100倍にものぼると言われる。すると、粉焼けを起こし、水分や風味が飛んでしまう。
実際のロール製粉は、石臼挽きの20倍以上回転するので、ソバの実にも200倍以上のエネルギーがかかっていると考えられる。最近では機械の改良が進み、粉焼けを起こしにくくなったと言われているが、依然、石臼挽きにこだわるそば屋も少なくない。