蕎麦好きにとって秋は特別な季節。そう、新蕎麦が出回る季節だから。あの美しい緑、フワッと鼻をつき抜ける蕎麦の香り。一年のうちのほんの2、3ヶ月だけのお楽しみ。その刹那こそが粋なのだ。また、秋の変わり蕎麦も楽しみの一つ。新蕎麦と秋の変わり蕎麦を堪能したい。
1 秋の新蕎麦『秋新』がもてはやされる理由
秋の新蕎麦を『秋新』と言う。と言うのも、夏に出る新蕎麦、通称『夏新』もあるからである。さらに最近では春〜初夏にかけて収穫する蕎麦も出てきているらしい。
つまり、冬以外には新蕎麦が出てくることになる。それなのに秋新がもてはやされる理由。一般論ではあるが、秋新がもっとも見た目、香り、味が良いとされているから。
蕎麦は収穫前の時期に、昼夜の寒暖差が大きいほど良いものが出来ると言われている。しかも昼間も高温になり過ぎない方が良い。この条件は、長野や北海道など蕎麦の産地とも合致する。そして最も条件を満たすのが秋口。だから秋新が重宝されるのである。
2 秋に食べたい変わり蕎麦6選
蕎麦が旨い秋に、秋の味覚を加えた変わり蕎麦。目で楽しみ、香りで楽しみ、味も楽しめる秋の変わり蕎麦を6つ紹介する。
2-1 菊切り蕎麦
菊花展など秋の風物詩、菊。東北地方では食べる機会も多いと言う。食用菊を刻んで蕎麦に混ぜたものが菊切り蕎麦。淡い黄色がとても美しい。
参照:https://takefuku.exblog.jp/18622685/
また、陰暦9月9日は重陽の節句もしくは菊の節句と呼ばれる日。この日には、菊の花びらを浮かべた酒を飲んで長寿や運気上昇を祈ったと言う。日本文化を感じる意味でも、菊切り蕎麦はおすすめである。
2-2 わさび切り蕎麦
本わさびは真冬以外、年中収穫できるもの。しかし、寒さが増す秋から冬にかけては一層辛味が強くなる。つまり、秋〜冬にかけて旬のわさびを打ち込んだものをわさび切り蕎麦という。ただし冒頭述べたように年中収穫できるため、秋以外に提供している蕎麦屋もある。
参照:https://miyori.jp/archives/1325
2-3 芋切り蕎麦
秋のイベントの一つ、芋掘り。数は多くはないものの、芋を混ぜた蕎麦を提供する蕎麦屋がある。芋は水分が多いので、そば打ちも相当な技術が必要だろう。
参照:https://tabisuke.arukikata.co.jp/mouth/100326/
2-4 ゴマ切り蕎麦
今や年中食べられて季節感に乏しいゴマも、実は秋が旬。蕎麦の薬味にも使われるゴマだから、当然蕎麦との相性も抜群。香りを楽しみたい。
参照:http://gontaro.co.jp/shop/noodle/231.html
2-5 ウコン切り蕎麦
独特の香りと黄味が美しいウコン切り蕎麦。胃腸にも優しそうだ。
参照:http://kandatasoba.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_e045.html
2-6 クコの実切り蕎麦
スーパーフードとして、近年注目を浴びているクコの実。またの名をゴジベリーと言う。杏仁豆腐に乗っている、あの乾燥した赤い実と言われたら、ピンとくる人も多いのではないだろうか。中国では『不死の実』とも言われ、漢方にも使われている。淡いピンクが美しい、クコの実切り蕎麦。※写真は茹で上がりの色。
参照:http://kandatasoba.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-8aca.html
まとめ
悩ましいほどに魅力的な新蕎麦と、秋の変わり蕎麦。しかし、四季の移ろいを楽しめるのもまた、蕎麦の良いところではないだろうか。