参照:http://www.kankou-komagane.com/
日本有数のお蕎麦の産地、信州。良質なソバの実がたくさん採れる信州やその周りでは、たくさんの郷土蕎麦が生まれた。お蕎麦そのものに特色があるもの、つけ汁が変わっているもの、食べ方が特徴的なもの、
また今、日本各地で郷土蕎麦と呼ばれるものも、元をたどれば信州ということも少なくない。つまり、お蕎麦を語るのに、信州を知らずして何をかいわんや。お蕎麦のルーツは、信州にあり!
1.富倉蕎麦
さて、日本屈指のそば処、信州。日本各地に伝わる蕎麦も、出所は信州、ということも多い。郷土蕎麦の中でも、信州のものをまとめて『信州そば』ということも多いが、ここでは敢えて一つ一つ掘り下げていく。
長野県飯山市に伝わる『富倉蕎麦』。特徴はつなぎの『オヤマボクチ』と呼ばれる山ゴボウの葉。オヤマボクチをよく乾燥させ、葉の繊維だけを使う。そしてできるのがコシが強く、のど越しの良いおそば。
2.貉蕎麦と早蕎麦
大根を使った信州そばが『貉(ムジナ)蕎麦』と『早(ハヤ)蕎麦』。貉蕎麦は長野県小諸市八満に伝わるおそばで、千切り大根を味噌汁に入れ、その中にそば粉を入れる。同じ『貉蕎麦』という名称のおそばは群馬県にも伝わるが、群馬ではそば粉ではなく、そばがきのことを言う。『早蕎麦』は長野県北志賀地方などで見られる郷土蕎麦。大根の千切りとそば粉をお湯の中に入れて混ぜただけのもの。すぐにできるので早蕎麦と呼ばれる。
3.すんき蕎麦と凍り蕎麦
続いて、長野の寒さを利用した『すんき蕎麦』と『凍り蕎麦』。『すんき』とは、酸茎(スグキ)というカブの一種を指す。酸茎を乳酸発酵させた漬物を細かく刻み、おそばにかけて食べる。『凍り蕎麦』は、その名の通り凍らせたおそば。一度茹でたお蕎麦を寒さ厳しい屋外に出して凍らせた、天然のフリーズドライ食品。食べるときは、お吸い物に入れる。
すんき蕎麦が郷土の味となっている所には、長野県木曽郡開田村もある。高原蕎麦の産地でもある開田村で食べられるお蕎麦は『開田(カイダ)蕎麦』とも呼ばれ、『お煮かけそば』という郷土蕎麦もあり。お煮かけそばは、野菜やきのこなど具をたっぷりいれるのが特徴。
参照:http://inashi-kankoukyoukai.jp/
4.柏原蕎麦
長野県上水内郡信濃町柏原に伝わるのは『柏原蕎麦』。昔からお蕎麦の名産地であったため、諸大名に献上された。また柏原は江戸時代を代表する俳諧師、小林一茶の故郷。一茶の命日である11月19日に全国規模の俳句大会『一茶忌』が開催されるのに合わせ、『新そば会』も行われている。
5.唐沢蕎麦
『唐沢蕎麦』は、そば処である山形村唐沢地区で提供されるおそば。小さな集落でありながら、500mほどの間にお蕎麦屋が9軒も立ち並ぶという、おそば好きにはたまらない食い倒れの地となっている。『川上蕎麦』は、長野県南佐久郡川上村に伝わる郷土蕎麦。手打ちそばのほか、蕎麦焼餅も有名。
6.揉み立て蕎麦
長野県東筑摩郡に伝わるのは『揉み立てそば』。揉み立てはお蕎麦そのものよりも、つけ汁に特徴がある。大根のおろし汁に、焼き味噌と刻んだネギを入れて煮込んだもの。これにお蕎麦を浸ける。
まとめ
やはり日本一のそば処、信州とその周辺には多くの郷土蕎麦がある。良質なソバの実が豊富に取れることを活かしたシンプルな食べ方から、農村に伝わる地域色豊かな食べ方など、見た目も味もかなり幅が広い。一度や二度の訪問ではとても網羅できないので、じっくり時間をかけて、歴史に思いを馳せながら楽しみたい。