おそばと言えば、『挽きたて』『打ちたて』『茹でたて』の『三たて』がいいとされる。いや、「いいとされてきた」と表現した方が正しいかもしれない。近年、『三たて』はもはや過去のものになりつつある。そして『三たて』に変わって、今、そば界で注目を浴びているのが『熟成蕎麦』。はて、『熟成蕎麦』とは?
1.これまでのおそばの常識
おそばは、時間を置くと切れやすくなる。昔は1日置いたお蕎麦のことを『泊り』などと言ったらしいが、1日まで経たずとも、ものの数十分であっという間にボソボソになってしまう。だから、お蕎麦は『挽きたて』『打ちたて』『茹でたて』が基本であった。
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2.熟成蕎麦とは
しかし近年は、冷蔵設備や製粉技術などが進歩し、1日経ってもおいしいお蕎麦をいただけるようになった。むしろ、1日置いたほうが、甘味が増しておいしいとも言われるまでに。さすがに香りは落ちるが、代わりに独特の香りがするようになる。このようなお蕎麦を『熟成蕎麦』と言う。
熟成蕎麦には2種類ある。おそばの原料である玄蕎麦の状態で熟成させたものと、打ったおそばを熟成させたものである。打ったお蕎麦を熟成させる方法の方が、簡単なので、最近では打って熟成させたお蕎麦を提供するそば屋は増えてきているよう。
一方で、玄蕎麦の状態で熟成させる場合、長いものだと1年以上低温貯蔵することもある。となると、専用の設備が必要となり、さらには玄蕎麦から製粉する機材や技術も必要となり、一般の蕎麦屋では敷居が高い。よって、玄蕎麦からの熟成蕎麦を提供しているそば屋は、かなり限られていると考えられる。ちなみに、玄蕎麦からの熟成蕎麦は、糖分などに変化が起こり、うまみが増すとされている。