1.長い長い不動前の歴史
やる気の出ない月曜日。こんな日は、お蕎麦に限る。目指すは、不動前の老舗お蕎麦やさん。『名代 そば処 海老民 本店』は、いつの間にやら20年以上続く長寿番組と化した、『出没!アド街ック天国』の、不動前特集で紹介されたとか。
不動前という名称は、瀧泉寺の『目黒不動尊』が由来。瀧泉寺の歴史は古く、創建はなんと、808年。「泣くよ(794年)うぐいす平安京」の時代。ただし、本堂は1615年に焼失したため、創建時の姿はない。現在の大本堂は、鉄筋コンクリート造りで、1981年に再建されたものである。また、本堂の裏手にある江戸時代の儒者、『青木昆陽』の墓は、国指定の史跡となっているほか、瀧泉寺内には、目黒区の有形文化財も多い。
2.そば処『海老民』について
東急目黒線目黒不動前駅から、徒歩6分。『リベラニノミヤ』というマンションの一階にあるのは、有名老舗店のそば処『海老民(えびたみ)』。『海老民』は1928年創業、、、なんと、90年近い歴史を持つ。ちなみに、マンションのオーナーは、目黒区議会議員の二宮啓吉さん。その息子さんが、そば屋の三代目らしい。
マンションの脇には、6段ほどの石段。風情を出すために取ってつけたようなものではなく、自然と風に侵食された石段が、歴史の長さを物語っている。階段下には二宮金次郎らしき像。むむむ、同じ二宮。。。マンションのオーナーと同じ苗字。これは、狙いか?石段を上ると、堅そうな雰囲気の門構え。そして右側からは、アンパンマンの石像が、お出迎え。なぜアンパンマンの石像なのか。チグハグな感じは否めないが、きっと子供達には大人気に違いない。
お店の入り口にかかった暖簾の上には『民老海』・・・?いや違う、『海老民』と書かれた看板。右から左に読むのか。昔の看板だからか?二宮金次郎と言い、アンパンマンの石像と言い、とめどなくジャブを打ってくるあたり、やはり只者ではない。
さて、次の一手に備えつつ、私は店内へ。広々とした店内には、ラジオが流れている。壁はうぐいす色、とでもいえばいいだろうか。お抹茶のような上品で鮮やかな緑色。床から3分の1の高さまでは、灰色のまだら模様のタイルが、均一に敷き詰められている。花や、絵画などもが飾ってあって、お洒落。席数は、テーブル席と小上がり席をあわせて、70席ほど。全席喫煙可。う〜ん、せめて分煙にはしてほしいところだが、仕方ない。
なお、『名代 そば処 海老民 本店』の営業時間は、お昼が11時から15時、夜が17時から20時。水曜日が定休日。
3.そば処『海老民』のお蕎麦は
私は、席に腰かけ、メニューを開く。お蕎麦に、うどん、丼ぶり物に、定食のセット。おそばだけでなく、食事を目的に来る人も多そうな、ラインナップ。『そば処 海老民』のお蕎麦は、長野県飯島町産。契約農家から直送した玄そばを、石臼で自家製粉しているらしい。 『剥き立て、挽き立て、打ち立て、茹で立て』の蕎麦が自慢』とのこと。おそばの『三立て』に加えて、『剥き立て』まで加えるとは!そば処『海老民』、さすが抜け目なし。
ちょっと検索してみると。長野県郡飯島町は、平成22年に行われた、『第一回全国そばサミット』の、全国そば優良生産表彰団体の部で、一席の『農林水産大臣賞』を受賞したとか。そばサミットなるものがあるのは、今知ったことだが、大臣賞受賞のおソバと聞くと、余計に楽しみ。そんなこだわりの蕎麦粉は、店内で購入可能。生ソバ麺も、2人前1,200円で販売している。ここも、抜け目なし!
さて、私は『柚子切りそば』と、『もりそば』を注文。先ずは、変わりそばの柚子切りが運ばれてきた。硬めのお蕎麦で、柚子がたまにフワッと香った。ネギや大根などの薬味は入れると、ゆず風味が消えてしまうので、そのまま食べるのがおすすめ。ただ、手打ちで手切りなのか、案外太さはまばら。手打ちが重宝される時代ではあるが、、、個人的には統一されている機械式の方が喉ごしもよく、美味しい感じもする。
次に、オーソドックスなもりそばを。白っぽく、星もない細打ち。こちらは細いお蕎麦ということに加えて、機械式で切っているのか、統一されていて、口触りもよい。すごくツルツルいけた。コシはほどほどだが、噛むとお蕎麦の香りもあり、旨い。
お蕎麦がもつ栄養価の高さが評価される理由の一つに、『アミノ酸スコア』の高さがある。アミノ酸スコアとは、人が体内でつくることのできない、9種類の必須アミノ酸の含有比率を示すもの。スコアが高いほどよいとされる。そして、おソバのアミノ酸スコアは、92。37を示す小麦のおよそ2.5倍、67を占めるお米のおよそ1.4倍。
実は、筋肉の原料となるたんぱく質は、アミノ酸と一緒に摂取しなければ、きちんと筋肉にならない。それどころか、アミノ酸が不足すると、筋肉が減ってしまう可能性さえある。これは、危険だ!バキバキの腹筋でサーフィンをするという夢を絶やすわけにはいかない。全国ひとりそばふりーくのみんなも、お蕎麦でかっちょいい身体をつくろう!
4. 『名代 そば処 海老民 本店』の個人的なまとめ
『名代 そば処 海老民 本店』は、不動前駅から、目黒不動尊に向かって歩くこと6分ほどのところにある、老舗のお蕎麦屋さん。硬そうな雰囲気の門構えに、なぜかアンパンマンの石像とチグハグな感じは否めない。そのほか、二宮金次郎像や、『剥き立て』などツッコミどころ満載。しかし、ゆったりとした広めの店内で、やる気のでない月曜日にゆっくりできるお店。オヤジの独りそばにももってこい。
変わりそばの『柚子切り』は、硬めのお蕎麦で柚子がたまに香った。ただ、手打ちで手切りなのか、案外太さはまばら。個人的には統一されている機械式の方が喉ごしもよく、美味しい感じもするが。。。もりそばは、細いお蕎麦。機械式で切っているのか、統一されていて、口触りがよく、すごくツルツルいけた。個人的には、もりそばの方に軍配!
次、来たときは、お蕎麦以外にも、大型海老天もいってみたい。お蕎麦食べられ無さそうなほど大きかった。