食物繊維は食べても消化・吸収されません。エネルギーになることも、ビタミンのような酵素になることもなく、体から出ていきます。このことから、『食べかす』として扱われ、栄養は無いとされてきました。しかし、今は『食べかす』も体に必要な栄養と分かり、食物繊維は人の体に欠かせないものとされています。
生活習慣病予防や便秘解消に役立つ食物繊維ですが、ほとんどの世代で摂取量が足りていません。特に少ないのが10代後半から40代まで。50代60代になると摂取量は増えますが、それでも目標量には足りません。私たち日本人、特に働き世代は全体的に食物繊維が不足しているのです。
本記事では、食物繊維をアップしてくれる蕎麦のアレンジと食物繊維の効果について解説します。
きんぴら蕎麦
https://cookpad.com/recipe/4276137
きんぴらごぼうをゴマ油ではなくオリーブオイルを使って作り、蕎麦と合わせたペペロンチーノのような蕎麦です。レシピではきんぴらごぼうから作っていますが、夕食の残り物のきんぴらごぼうを、いつもの蕎麦にのせるだけ、といったアレンジもできるでしょう。
食物繊維アップのポイントは根菜類
ごぼうは根菜類の中でも食物繊維を非常に多く含む食材で、ごぼう100gあたり約6gが食物繊維です。今回のレシピでは、ごぼうと人参できんぴらを作っていますが、れんこんを追加しても良いでしょう。きんぴらごぼうは作り置きをしておくこともできますから、忙しいときでもサッとできるアレンジですよ。
さらに食物繊維をアップするアレンジはこれだ!
きんぴら蕎麦の食物繊維をさらにアップさせるアレンジをご紹介します。
青菜とブロッコリーで色味も繊維もパワーアップ
春はブロッコリーや菜の花、夏はモロヘイヤ、秋・冬はほうれん草やかぶの葉など、青菜やブロッコリーを足してあげましょう。彩が鮮やかになり、食物繊維をさらにたくさん摂れるようになります。青菜やブロッコリーはビタミンも豊富に含んでいますので栄養価がさらにアップします。
おからを入れてサラダにアレンジ!
今回のレシピは、主食および主菜としてのアレンジですが、量を減らしてサラダ風に作っても良いでしょう。分量を減らして少量のマヨネーズと和える、おからを足してさらに食物繊維をアップさせる、などの工夫ができます。サラダにする場合は蕎麦に茶そばを使うと彩が鮮やかになるのでおすすめです。
便秘解消の秘訣は『食物繊維&水分摂取』
便を体の外に出すには、腸の蠕動運動(腸が弛緩と収縮を繰り返してグニュグニュと動くこと)が不足なく行われている必要があります。私たちの体は、食べ物を食べて胃に入るとそれを脳が認識して、腸を動かし排せつに備えます。また、便の量が十分にあれば腸を広げることができるので、蠕動運動が起こりやすくなります。
食物繊維を摂取することは、後者の便の量を増やすことに該当するため、食物繊維を摂れば便秘は解消できるという理論が成り立つのです。しかし、食物繊維だけでは便秘を解消することができません。食物繊維だけをたくさん摂取すると、便が硬くなってしまうため水分も積極的に摂ってください。体重60kgの大人であれば、1日1.8L程度が目安です。コップ1杯が200mLですから、食前と食後にコップ1杯の水を飲み、仕事中も500mlペットボトル1杯以上の水分補給を心掛けてみましょう。
便秘解消だけじゃない!食物繊維のうれしい3つの効果
食物繊維といえば便秘解消のイメージですが、食物繊維の効果は便秘解消だけではないのです。食物繊維の効果について3つご紹介します。
糖尿病予防
食物繊維を摂取することで、糖質の消化と吸収をゆるやかにしてくれます。糖質がゆっくり吸収されると、食後の血糖値上昇もゆるやかになります。そして、インシュリンも急激に上昇しなくなるのです。糖尿病の原因に、糖質の過剰摂取によりインシュリンが過剰に分泌されてしまう、という現象があります。これを予防できるため、食物繊維は糖尿病の予防に効果があると言えるのです。
肥満予防
食物繊維が多い食品は、物理的に硬い、繊維質であるという性質を持ちますので、よく噛む必要があります。よく噛むと、食事をゆっくり摂ることになり、満腹感を得やすくなります。食べすぎを防止できるので、食物繊維は肥満を予防してくれるのです。
動脈硬化予防
食物繊維は脂質やコレステロールの吸収を減らしてくれる働きをもっています。脂質の摂りすぎは動脈硬化へつながります。つまり、食物繊維を摂ると脂質の吸収が減り、動脈硬化を予防してくれるでしょう。さらに、動脈硬化は高血圧や心筋梗塞などの原因ともなりますので、動脈硬化から派生する病気の予防にもつながります。
食物繊維をアップして、便秘の解消と生活習慣病予防をしよう
食物繊維を摂取すると、便秘を解消できたり、生活習慣病を予防できたりとたくさんのメリットがあります。しかし、私たち働き世代は全体的に食物繊維が足りません。
今回ご紹介したきんぴら蕎麦は、食物繊維をたっぷり摂れる蕎麦のアレンジです。蕎麦はもともと食物繊維の多い炭水化物源に分類できますが、きんぴらがさらに食物繊維をアップしてくれます。きんぴらは常備菜としても活用できますので、いつもの蕎麦にきんぴらを乗せるだけでも簡単に美味しく食べられますよ。
(参考)
http://www.otsuka.co.jp/health_illness/fiber/take_fiber/daily_amount/