「ザギンでシースー」・・・近頃は残念ながら、そんな景気の良い話はなかなか聞こえてこないが、どこの世界にも「業界用語」というものがある。お蕎麦業界とて、例外ではない。ソバ好きなら知っておきたい、おそばの「通し言葉」、、、もとい業界用語について押さえておこう。
1.通し言葉とは
通し言葉とは、お蕎麦屋さんがお客さんから受けた注文を、厨房に「通す」時に使う言葉。いわゆる隠語のひとつ。そして「通し言葉」によって提供される食事を「通し物」や「出物」と言う。
粋なソバ好きが使う用語らしく、通し言葉は一捻りも二捻りもある。
2.通し言葉
「岡(おか)」…天ぷらを別の皿に盛って提供すること。お蕎麦の汁に浸からず、“岡に上がって”いる様子から。
「おかわり」…一人のお客さんが一度に2杯注文すること。一般的な、ご飯を1杯食べ終えてから「おかわり」といって2杯目を提供するのとは異なる。始めから2杯分注文し、つけ汁も2つ提供される。
「お声がかり」…お客さんがお酒を飲み終わり、“声がかかってから”お蕎麦を提供すること。「ドリンクはお食事の後がよろしいでしょうか?」というやつ。
「勝ち(かち)」…通し物が2種類、併せて5個以上注文されたときに使う。注文数が多いものを先に言って“勝ち”をつける。「ざる勝って7杯天ぷら」という場合は、合計7杯の通し物のうち、ざる蕎麦が4杯、天ぷらソバが3杯ということ。
「きれい」…お蕎麦の量を少なくすること。
「きん」…お蕎麦の量を多くすること。
「さくら」…お蕎麦の量を少なくすること。「桜は綺麗」から、「さくら」と「きれい」が同じ意味を持つように。
「せきまえ」…急ぎの注文。
まとめ
ソバ好きなら知っておきたい「通し言葉」。知らなくてもお蕎麦は食べられるけれど、知っておくとまた味わい深いものになるのではないだろうか。