【栄養士解説】蕎麦とうどんはどっちがいい?体調別健康・栄養面からの比較
和食の麺類といえば蕎麦とうどん。「きつねが食べたいなぁ…」と思ったとき、麺を蕎麦にするか、うどんにするか、迷ったことはありませんか?
蕎麦とうどんは、お互いを入れ替えても非常においしく食べることができる上に、両方とも主食で麺類です。とても似た面を持ち合わせていますね。
しかし、蕎麦とうどんを栄養面から比較すると、全く異なるものであることが分かります。
本記事では、蕎麦とうどんについて管理栄養士の筆者が栄養面から比較してみたいと思います。
蕎麦とうどんの栄養比較!
蕎麦とうどんの栄養面の比較をしていきます。蕎麦は一人前260g(1束のゆであがり量)、うどんは230g(1玉のゆであがり量)が一般的な量なので、比較は一人前あたりの量で行うこととします。
食物繊維は蕎麦のほうが多い
一人前あたり、蕎麦に含まれる食物繊維は3.9g、うどんに含まれる食物繊維は1.8gです。一人前を食べたときの食物繊維の量は、2倍も異なるということが分かりますね。
食物繊維は、お腹をスッキリさせてくれる効果やコレステロール値の低下、生活習慣病の予防につながる役割を持っている栄養素です。腸内では、善玉菌に働きかけてくれるので整腸作用を持ちますし、体内の脂肪を吸収する際に使う胆汁酸を排出することで、脂肪の吸収を抑えてくれる効果もあります。
このような食物繊維の恩恵を受けたいのであれば、蕎麦を選択することがおすすめです。
カロリーはうどんのほうが低い
一人前で比較すると、うどんは242キロカロリー、蕎麦は296キロカロリーです。食物繊維は蕎麦のほうが多く健康的なイメージですが、カロリーはうどんのほうが低いのです。
では、ダイエット中はうどんを選ぶほうが良いのでしょうか?
ダイエット中は低カロリーのものを選びたいので、うどんのほうが魅力的に感じますよね。しかし、原材料に注目すると、うどんは小麦粉から、蕎麦は蕎麦粉からできています。小麦粉が原材料であるうどんは、血糖値を上昇しやすく糖質も蕎麦より多いです。ダイエット中は低カロリーのものが良いと思いがちですが、糖質を抑えたいダイエット中に食べるものとして、うどんはあまり適切ではありません。
参照:http://www.shikoku-np.co.jp/
ポリフェノールであるルチンは蕎麦からしか摂れない
蕎麦に含まれているポリフェノールの『ルチン』。蕎麦がルチンを持っていることは、蕎麦の健康効果が注目されている理由の1つです。
ルチンの健康効果として実験結果が出ているのは、認知症の予防、生活習慣の予防、血管系の疾患の予防、関節系の疾患の予防、などがあります。これらは、ルチンのもつ強力な抗酸化作用や、毛細血管を強化する性質などにより得ることができる効果です。
ルチンは蕎麦粉に含まれていますので、もちろん蕎麦にのみ含まれており、うどんには一切含まれていません。ルチンを摂りたいのなら、蕎麦を食べるしかないですね。
血糖値が気になる人には十割蕎麦がおすすめ
血糖値が気になる人は、蕎麦とうどんのGI値を調べてみましょう。シドニー大学の研究によると、うどんGI値は62です。それに対し、蕎麦はGI値が46と低い値を示しています。
GI値は高ければ高いほど血糖値を上昇させるスピードが早いので大量のインシュリンを必要とします。インシュリンは脂肪の合成を促し、脂肪の分解を邪魔してしまう性質がありますから、血糖値が気になる人はGI値の低い食品を選ぶほうが良いのです。
つまり、血糖値が気になっている人は、蕎麦を選択するほうがよいですね。
消化に良いのはうどん!
消化に良い食べ物の条件といえば、胃腸に負担がかからないものです。柔らかく煮ている、温かい、消化に負担のかかる繊維質が少ない調理方法や食べ物が消化によい食べ物と言えます。
調理法で柔らかく煮ていれば、食べ物を胃腸が消化吸収する際の負担が減ります。また、温かい料理は胃腸の働きを高めてくれます。さらに、食物繊維は消化できないものですから、胃腸の消化吸収に負担をかけてしまいます。食物繊維を多く含んでいるということは、健康面からはメリットが多いのですが、消化によい食材を選ぶときにはデメリットになります。
よって、風邪をひいたときのように、消化に良い食べ物を食べたいときはうどんを選ぶと良いでしょう。たまご入りの月見うどんにすることで、消化に良い炭水化物と、たまごのたんぱく質を同時にとれるので、特におすすめです。
日常的には蕎麦、風邪で胃腸が弱っているときはうどんがおすすめ!
蕎麦は食物繊維が多かったり、GI値が低かったり、ルチンというポリフェノールを含んでいたりと、健康によい性質をたくさん持っています。よって、蕎麦かうどんかで迷ったときは、蕎麦を選ぶことをおすすめします。うどんは小麦粉の塊なので、パスタと同じくあまり良い主食とはいえません。
ただし、うどんは消化によい食べ物です。特に温かいうどんは、風邪のときに重宝するでしょう。
よって、日常的には蕎麦を食べ、風邪のときのみうどんを食べることをおすすめします。
(参考)
https://www.selfdoctor.net/q_and_a/2013_04/08.html
http://www.sankei.com/west/news/161114/wst1611140003-n1.html
http://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/feature/130426/