ソバの実の製粉方法は、『ロール製粉』と『石臼挽き』の2つに大別される。石臼挽きはそれだけでお店のアピールポイントともなるため、石臼挽きによるソバ粉でお蕎麦を打っているそば屋では、『石臼挽き』と掲げていることが多い。
ただ、石臼挽きには石臼挽きならではの問題もある。ここでは、石臼挽きのメリットとデメリットをまとめる。
1.石臼挽きとは
石臼挽きとは、円柱型の石を二段に重ねて、その間にソバの実を入れて使う。上段の石臼をゆっくり回すと、石臼の重みと動きで、製粉されていく。
一般的に石臼挽きでは、ヌキ実をすべて製粉してしまう『挽きぐるみ』のそば粉が出来上がる。よってそば屋では『田舎そば』として提供しているところが多い。
2.石臼挽きのメリット
ロール製粉に比べて回転が遅く、熱が発生しにくいので粉焼けを起こしにくい。そのため、風味が豊かなお蕎麦になる。品質の低下も抑えられる。ただし、石臼挽きでも早く回転させれば熱を持ってしまうので、ゆっくりじっくり時間をかけて製粉することが大切。
なお、石臼挽きで品質の低下を抑えられるのは回転スピードの遅さだけではなく、その素材にも秘密がある。石臼の表面は石であるため、ザラザラしている。これがソバの実をしっかりとらえて、石臼回転時に滑るのを防ぐ。
滑らないから、余計な摩擦を受けず、品質の劣化や熱の発生を抑制。また、石臼の溝が通気性を向上させ、熱の発散に一役買っている。
3.石臼挽きのデメリット
手作業であり、回転スピードを抑えることが必要なために、生産量が限られることがデメリット。こうした人的時間的コストが、お蕎麦の品代に乗ってしまうために、価格も高くなる。
また、ソバの粒が揃いにくいため、そば打ちの際に高い技術を要したり、多めの水が必要であると言われる。そして、石臼の手入れもこまめに行わなければならない。