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そば処は寒冷地や日本海側に集中することもあり、東海地方や近畿地方には郷土蕎麦が少ない。しかし、それでも郷土蕎麦は存在する。また中国地方には『出雲そば』や『瓦そば』など、特徴的なお蕎麦も。
出汁が薄口醬油となってくることも楽しみたい。
1.東海地方の郷土蕎麦
東海地方にも郷土蕎麦、『飛騨蕎麦』。岐阜県の奥飛騨は、信州と同じように朝晩の寒暖差が激しい。そんな飛騨で取れた良質なおソバは、シンプルにお塩でいただいても美味しい。また、同じ飛騨地方で取れた本わさびでも食べたい。
2.近畿地方の郷土蕎麦
京都の鰊(ニシン)蕎麦。干物を指す身欠き鰊を甘辛く煮て、アツアツのかけそばの上にのせる。にしんの甘辛さと、関西ならではの上品な味わいの出汁がよく合う。お店によってはもり蕎麦での取り扱いも。また、同じような食べ方で、ニシン漁が盛んだった北海道にも、郷土蕎麦としての鰊蕎麦がある・
兵庫の郷土蕎麦が『皿蕎麦』。出石(イズシ)焼きのお皿におそばを盛って食べることから、別名『出石蕎麦』『出石皿そば』とも言う。お皿は手塩皿(テショウザラ)という小ぶりのお皿のため、1人前5皿提供されることが多い。また、ネギや大根おろし、わさびなど一般的な薬味の他に、卵やとろろを入れるのも特徴。
3.中国地方の郷土蕎麦
中国地方の郷土蕎麦を代表するのは『出雲そば』。その名の通り、島根県は出雲大社に由来する。かつて出雲地方では、お詣りの折、おそばを食べる習慣があった。そして神在月には、ソバ屋の屋台が立ち並んだ。出雲そばにはいくつか種類があり、もっとも有名なのが『割子(わりご)そば』。三段に重ねた丸い器にそれぞれお蕎麦を盛る。
割子そばの特徴は出汁のかけ方。一般的には出汁の中にお蕎麦を入れて食べるが、出雲そばの割子蕎麦では、出汁を器に入れる。そこにさらに薬味をかけて食べる。また出汁のかけ方も特徴的で、三段の器のうち、一番上の器に出汁を入れてしまう。そしてお蕎麦を食べ終わったら二段目の器に出汁を入れて食べ、また三段目に、、、という風に使いまわす。
『釜揚げ蕎麦』も出雲そばのひとつ。釜揚げの名の通り、茹でたお蕎麦を、蕎麦湯と一緒に器に入れる。そしてつゆや薬味をかけて食す。出汁はあらかじめかけていて、好みで継ぎ足せるお店と、始めから自分の裁量で掛けられるお店とがある。
出雲そばにはもうひとつ、『蕎麦鍋』という郷土蕎麦がある。おそばをそのままお鍋に入れて、様々な薬味と合わせて食べるというもの。寄せ鍋をイメージするとわかりやすい。
同じ島根県でも大山(ダイセン)には『大山蕎麦』が。大山一帯は蕎麦の産地であり、挽きぐるみのお蕎麦が食べ親しまれていた。以前は大山蕎麦の基準は曖昧だったが、2009年から認定制度が始まり、大山産のソバ粉を使う、由来を掲示するといった基準をクリアしたお店のみ、大山蕎麦認定店として営業できる。
山口県の『瓦そば』は、見た目のインパクト大。熱した瓦の上に、炒めた茶そばや牛肉、錦糸卵、紅葉おろしなどを彩りよく盛り付ける。他地域の郷土蕎麦と違い、独自に誕生したのも瓦そばの特徴。西南戦争時に薩摩の兵士たちが瓦で肉や野草を焼いて食べたという逸話から生まれた料理とか。そのため見た目も食べ方もかなり独自色が強い。
まとめ
東海、近畿地方は食文化の違いもあり、郷土蕎麦は少ないが、それでも独自の進化を遂げた郷土蕎麦がある。京都のニシン蕎麦は、北海道にもあるが、出汁など両者の違いを楽しむのもまたよい。
出雲そばや瓦そばも、ご当地に行けば専門店が多いので、ぜひ足を運んで楽しみたい。