1.板橋の由来は、板の橋!?
チョットした用事で、友人に会うために、本蓮沼へ。せっかくなので、板橋界隈のお蕎麦を食べて帰ろうと。
現在の都内の地名は、江戸が都となってから、つまり江戸時代にできたものが多い。『板橋』という地名もまた由来は諸説あるものの、五街道が関わっているとか。中山道が石神井川を渡るところに掛けられた橋。この橋を当時の人々は、『板橋』と呼んだ。これが現在の『板橋』という地名の由来とも言われている。が、実は鎌倉時代前後のことを記した軍記に、すでに板橋という地名が登場しているという。板橋は、都内の地名の中でも屈指の歴史を誇っているらしい。
そんな板橋区も現在は、人口55万人を擁する街。今回は、まさに板橋区の住宅街に潜む御蕎麦屋に行ってきた。
2.『山吉』について
都営三田線本蓮沼駅A4出入口から、歩くことおよそ5分。住宅街の入り口に、赤いのれんがやたらと目立つ家族経営風のお蕎麦屋。周囲の住宅との輪を乱さないかのように、小ぶりのビルの1階にひっそりと佇む。『山吉』という看板こそ大きいが、日に焼けたせいか、店名は見にくい。お店の前には店主の趣味か、様々な草花が置かれているが、ビールケースを使っていたりと、こんなところもまた庶民派。
むむ、よく見ると看板の『山吉』の『吉』の字は、土になっている…食べログにもコメントしている人がいたが、土が正しいらしい。俗字というやつか。そういえば、親戚にも土の『吉』を名前に持つじいさんがいたような…変換しても出てこないから大変だな。
さて、例の赤い暖簾をくぐり店内に入ると、そこはまさにご近所のお年寄り憩いの場。都心のジャズが流れるおしゃれなお蕎麦屋とは一線を画す、テレビが大音量でついていて、喫煙自由な今も昭和が残っている庶民的なお蕎麦屋。小ぎれいで、朱色の革張りの椅子が、なんとも町蕎麦屋らしい。7卓のテーブルが所狭しと並べられ、小上がり席と合わせると20数名収容できそう。疲れたオヤジ向け、落ち着くお蕎麦屋であることは間違いない。
『山吉』の営業時間は、11時~15時と、16時30分~20時30分。定休日は日曜日。
3.『山吉』のお蕎麦は
席について、相撲の番付表のような、文字がバーっと並んだメニューに目を通す。もりそば530円と、街ソバ屋価格。うどんに、ラーメンに、丼ものに、鍋物と何でもありで、制覇するには年単位を要しそうな豊富なラインナップ。これはご近所さん、毎日来ても飽きないわけだ。そして今日は、最近順調な仕事からお蕎麦とかつ重のセットを頼んでみた。
さっそく一口…むむむ。お蕎麦は名代富士そば系のもっさりとしたお蕎麦。ソバ麺の色は白っぽく、香りはまずまずだが、コシが強いというよりは、やっぱりもっさり…もちろん、かつ重も汁でごはんベチャベチャのお年寄り向け料理。ターゲットである周辺のお客さんにはちょうどいいんだろうけど、ちょっと。。。
でも、店内の雰囲気がいい。雑誌や新聞をダラダラ読みながら、オヤジやおばさんと話しながら、お蕎麦を楽しむにはちょうどいい癒しのお蕎麦屋。本当はこんな感じのお店の方が入りやすい、帰ってきやすいんだろうなとしみじみ。本音はやはり、もうちょっとおいしいお蕎麦に変えてほしいけど。それもターゲットからズレちゃうから、ここにある限り、このままのお蕎麦がいいのかもしれない。
お蕎麦好きの贔屓目かもしれないが…おそば屋にたむろしているお年寄りがやたらと元気なのも、おそばのおかげなのかも。お蕎麦に含まれるポリフェノールの一種、ルチンはアンチエイジングに効果的という。毛細血管を強くして、高血圧や動脈硬化等を予防、改善するほか、認知症予防の面でも最近注目されているとか。
さらにルチンは、ビタミンCの働きをよくしてくれる。ビタミンCといえば、シミやシワなど肌の老化を防ぐのに欠かせない栄養素。つまりお蕎麦を食べれば、体の中も外も若さを保てるということ。全国独りそばふりーくのみんなも、お蕎麦を食べて、いつまでも若々しく!
4.『山吉』の個人的なまとめ
『山吉』は、本蓮沼駅から歩いて5分ほどにある、住宅街に潜む、家族経営風、疲れたオヤジ向け、落ち着くお蕎麦屋。まさに近所の憩いの場で、初めて来たのに、また帰って来たくなる癒しあり。
お世辞にも決して、特別おいしい訳じゃないが、仕事に疲れた時に、なんか戻ってきてしまう、癒しのブーメラン蕎麦の威力はすごい。本音では、もうちょっとおいしいお蕎麦に変えてほしいと思いながら、それもターゲットからズレちゃうからこのままで。都心のおしゃれなおソバ屋もいいが、本当はこんな感じのお店の方が入りやすく、帰ってきやすいんだろうな。