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引っ越しをすると、『引っ越し蕎麦』を配る風習がある。今や、全国的に知られた風習であるが、始まりは江戸と言われている。多くの風習がそうであるように、引っ越し蕎麦もまた、いわゆる“洒落”や“語呂合わせ”から始まったとされる。引っ越しによって、“そば”に来たことに掛けたのである。それは、「おそばに末永くよろしく」という江戸っ子の駄洒落かもしれないし、「(おそばのように)、細く長く仲良くしてください」という心意気かもしれない。
一方で、引っ越し蕎麦の起源に関しては、非常に“現実的な”説もある。お蕎麦が身近な存在であった江戸っ子にとって、おそばは手に入りやすい。さらに、ご近所にお配りするものとしては安く済む。こうした現実的な理由が、引っ越し蕎麦のはじまりとする説もある。
いずれにしても、江戸っ子にとっておソバは欠かせない存在であったと言える。それから400年余り。高層ビルが立ち並ぶかつての“江戸”において、未だ蕎麦屋が軒を連ねる様子を見たら、当時の江戸っ子もきっと喜んでくれるに違いない。